相愛ウィンドオーケストラ第33回定期演奏会
 2011年77日(木)1830分開演尼崎市アルカイックホール
 入場料:1000円(前売り,当日共)
 演奏会は盛会裏に終了しました。多数のご来場ありがとうございました。
 高度なアンサンブルを得意技とする相愛大学ウィンドオーケストラ。そこにはサイトウキネンに名を残す故齋藤秀雄氏率いる相愛学園オーケストラから数十年にわたり脈々と引き継がれる精神ありきと言えようか。欠かさず大曲に挑んできた相愛ウィンド、今年はバーンスタイン作曲のあまりにも有名なミュージカル「ウェストサイド物語」より「シンフォニック・ダンス」を、また吹奏楽の古典的名作、パーシー・グレインジャー作曲「ローマの権力とキリスト教徒の心」をとりあげる。ちなみに本年はグレインジャー没後50周年にあたり、あらためてその評価が見直される機運にあるといえよう。また中高生に大人気、今年も夏の「吹奏楽コンクール課題曲」の演奏をおおいに参考にしていただきたい。さらに今年のゲストにはモーリス・アンドレ以来のフランス人ジュネーヴ国際音楽コンクール優勝者、トランペットのアンドレ・アンリ氏を迎える。ビッグなプレイヤーと相愛ウィンドのコラボ、たなばたの日に奏でられる「たなばた」と共に否が応でも期待が高まる第33回定期演奏会、お聞き逃しなく。
プログラム
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第1部
酒井 格     たなばた
堀田庸元     マーチ「ライヴリー アヴェニュー」
新実徳英     シャコンヌ S
グレインジャー  ヒルソング第2番
グレインジャー  ローマの権力とキリスト教徒の心

第2部
ジェイガー    シンフォニアノビリッシマ
ファイユノー   トランペットと吹奏楽のための小協奏曲*
バーンスタイン  シンフォニック・ダンス
演 奏     :相愛ウィンドオーケストラ
指 揮     :小林恵子(第1部)、若林義人(第2部)
トランペット独奏:アンドレ・アンリ*
 
トランペット独奏:アンドレ・アンリ
トランペット独奏
アンドレ・アンリ
 1969年フランス南部に生まれ、12歳でトランペットを手にする。故郷の村は小さく、トランペットの教師はいなかった。しかし、アンリはモーリス・アンドレのレコードを最初の「教師」として、独学でトランペットを学んでいった。リヨン国立高等音楽院教授、ピエール・デュトと出会った1991年は、アンリにとって非常に重要な転機となった。デュトはアンリに最も威信ある全フランス音楽コンクールや国際音楽コンクールへの参加を決意させたのである。これを機に、アンリは次々とコンクール優勝者リストに名を連ねることとなる。トゥーロン国際音楽コンクール第1位、世界音楽コンクール第1位と併せて現代曲特別賞、モーリス・アンドレ国際音楽コンクール入賞、1996年ジュネーヴ国際音楽コンクール優勝。これはフランス人としてはモーリス・アンドレやフランシス・マルセル・アンディに次ぐ快挙であった。これらの授賞後、アンリはソリストとして、ロシア、中国、日本、台湾、アメリカ、ブラジル、ベネズエラ、ドイツ、スペイン、ポルトガル、カナダ、フランス、ポーランド、ベルギー、マケドニア共和国など、世界中の国々でコンサートを行い、イ・ソリスティ・ヴェネティ、パリ管弦楽団、 ハノーファー室内管弦楽団、サントペテルブルグ交響楽団、サイモン・ボリヴァル交響楽団、ポルトアレグレ交響楽団、ベネズエラ室内管弦楽団、中国管弦楽団、ドイツ国立交響楽団などと共演している。さらに、アンリは教育にも多くの情熱を注ぎ、世界各地でマスタークラスを開催している。1999年には、フランス文化省から修士号に相当する音楽教授適性免許(APTITUDE CERTIFICATE OF MUSIC TEACHING)を取得。1993年から2000年まで、アンドレ・アンリはロワール国立管弦楽団の主席奏者を務め、2001年より、中国管弦楽団の客演主席奏者である。1996年より、アンリはストンビトランペットを愛用。また、パリのビヨー出版社の編集監督を務める。
若林義人:指揮
若林義人:指揮
 東京都出身。京都市立芸術大学卒業。在学中に京都市交響楽団に入団、卒業と同時に安部賞を受賞。また入団当初より龍谷大学吹奏楽部の指導に当たる。トランペットを故金石幸夫、有馬純昭、田宮堅二の各氏に師事。京都市交響楽団トランペット奏者として25年6ヶ月在籍し、2007年の3月をもって退団。2007年度より龍谷大学吹奏楽部音楽監督常任指揮者、相愛大学ウィンドオーケストラ指揮者に就任。他に生駒市立生駒中学校吹奏楽部など、数多くのバンド指導を手がける。近年は、ジャパン・ブラス・コレクション、ブラスパラダイス大阪、ブラススカラーズ大阪等に客演指揮者として招かれ、指揮者としての活動も精力的に行っている。またウインズスコア社で、龍谷大学吹奏楽部、相愛大学ウィンドオーケストラ、東海大学付属高輪台高校吹奏楽部、福岡工業大学付属城東高校吹奏楽部、柏市立酒井根中学校吹奏楽部とのポップスレコーディングの監修・指導も行っている。現在、龍谷大学学友学術文化局吹奏楽部音楽監督常任指揮者、相愛大学非常勤講師、京都市立芸術大学非常勤講師、21世紀の吹奏楽"響宴"会員。
小林恵子:指揮
小林恵子:指揮
 東京生まれ。1997年、山梨大学教育学部音楽科卒業。2000年、洗足学園音楽大学附属指揮研究所マスターコース修了。2004〜2006年、東京佼成ウインドオーケストラ副指揮者。ハルヴィル城オペラ、スリランカ交響楽団を定期的に指揮している他、国内外のオーケストラ、吹奏楽団を客演指揮。合唱指揮者、鍵盤奏者としても数多くの公演に出演した。「東京佼成ウインドオーケストラ&普門館」「全日本吹奏楽コンクール2010年度課題曲参考演奏」「ニュー・サウンズ・イン・ブラス2011」等、佼成ウインドとのCD/DVDが多数発売された他、『たなばた(酒井格)』をはじめ、同オーケストラとの数曲が着うた配信中。指揮を、小澤征爾、秋山和慶、小林研一郎、湯浅勇治、川本統脩、藤井宏樹、D.ボストックの各氏に師事。2007年、ミッドヨーロッパ国際指揮マスタークラス第1位ほか。 現在、くらしき作陽大学ウインド・フィルハーモニー指揮者の他、同大学、相愛オーケストラ、洗足学園音楽大学にて講師を務めている。スリランカ国内での西洋音楽の普及に力を注いでいる他、日本各地でも、指導者や教師と一緒にコバ会(指揮勉強会)を開催している。

 今年も、いよいよコンクールシーズン突入!練習に励んでいる皆さまへ、各課題曲ごとに、3つずつポイントを挙げました。ぜひ、ラストスパートの参考にしていただければと思います。(各曲のポイントの最後には、指揮者へのメッセージもあります。)
尚、質問等がありましたら、定期演奏会第二部は客席で聴いていますので、休憩時もしくは終演後に、私を見つけて直接声かけて下されば、もれなく(笑)ご相談に応じます〜! byコバケイ(小林恵子)
課題曲 I マーチ「ライブラリー アヴェニュー」

★シンプル・イズ・ベスト!
音符が多い、音符が細かい・・・というグチを多く聞きましたが、確かに、16分音符とスタッカートに惑わされ、そして、2拍ごとの小節線に音楽の流れを寸断させられそうになるんですよね。でも、まだ惑わされている方へ、小節線を外してみて下さい。曲の構成も、和声進行も、そしてモティーフ自体も、とてもシンプルなマーチですよ!

★音楽の基本中の基本のみ!
例えば、第一主題。全ての音を均等に奏でようとすると、力んでしまい重くなりがちです。まず、スタッカートでも同じ音はロングトーンのように一音であることを意識。そして、主旋律の最初のフレーズで考えると、音自体はたったの3音(e,d,c)、その下降する3音の関係(eはdの倚音,dはcの倚音)を踏まえて重心の位置さえ揃えれば、フレーズ内の抑揚(緊張〜弛緩)が心地好く、自然とスムーズに、テンポ感も生まれるでしょう。
というように、何かを作る、のではなく、当たり前のことを当たり前に解釈すれば、音楽になってしまうのです。逆を言えば、非常識な解釈をすると、おかしなことになるので、ご注意を!
8分音符2音がスラーで繋がれていて後ろの8分音符にスタッカートついてるモティーフが多く出てきますが、2音の関係としては、必ず1音目に潜在的アクセントがありますが、2音目を軽く(重く遅くならないように)、でも丁寧に処理できるといいですね。応用として、タイがついても(例:14〜15小節目の旋律)考え方は同じです。

★トリオに意外なドラマ有り!
和声を基に音楽を考えましょう。和音が解決されてないのに(変ロ長調の主和音でないのに)、落ち着いていませんか?ぜひ、インテンポでロングトーンで音を出し、和声を感じてみて下さい。
メロディーは、臨時記号を外して吹いてみると、臨時記号の"臨時さ"(異常さ)がわかります。さらに異名同音の違いも表現できると、面白〜くなりますよ。
作曲家がとてもお洒落に
書いたトリオ。ステキなさじ加減を!

<指揮者へ>
序奏は、アクセントのリズムを生かしてアゴーギクを考えると、Briosoのニュアンスが明確に、しかも、Aにも自然な流れで、テンポもスムーズになります。
あとは、タイトルの通り、賑やかさを演出するため、それぞれのモティーフを生かすことを念頭におき、拍を振りすぎないように指揮して下さい。
全員が足並み揃える部分=4分音符の音の処理は、リハーサルで丁寧にそろえる作業が必要です。
GアウフタクトからHまで(特にrit.の前までのアゴーギク)が、まさに指揮者の腕のみせどころです。rit.ですが、あくまでHの輝かしい音楽の為のもの。rit.すること自体が目的になると、音楽が繋がりません。決して、手(指揮)の都合にもならないように。

 
課題曲U 天国の島

★好きなだけではダメ!
身近なような、あるいは懐かしいような、日本人には節回しに親しみを感じてしまうこの曲。もちろん、好きという気持ちは大切ですが、好きな歌手の曲を一緒に口ずさんで楽しむのと同じように、この曲は、どうしても聴衆側のテンションで演奏してしまいがち。主体的に演奏する・・・解釈自体は、あっさりでも、こってりでも、いろいろな味付けが可能ですが、いずれにせよ密度の濃い音を奏でないと、音楽としては伝わりません。
和音の変化も、大袈裟に表現して丁度いいですよ。

★吹奏楽の表現は、ダイナミクス(強弱バランス)だけでない!
ご存知の通り、この曲のダイナミクスレンジはp〜f(正確には、pからデクレッシェンドした音量〜fからクレッシェンドした音量)と狭い。つまり、ダイナミクス以外の要素がポイントなのです。吹奏楽では、どうしても音量バランスが一番の表現方法という傾向になりがちですが、ダイナミクスは表現の一つに過ぎません。音楽を表現するという原点を再確認しながら取り組むと、課題曲は仕上がるし、楽団の表現の幅も広がる、まさに一石二鳥以上ではないでしょうか。

★音価の小さい音は、装飾音?こぶし?それとも?
細かい音(16分音符等)を飾りとして扱い実音に重みを持つのか、或いは細かい音に重心を置いて歌うのか、或いは、こぶしのようにとらえるのか・・・この解釈により、曲のニュアンスが大きく変わってきます。この徹底が全てと言っても、過言ではありません。

<指揮者へ>
指揮者から「うちはソロが上手だから大丈夫」「うちはソロがまだまだ・・・」とか聞くのですが、勿論ソリストに頑張ってもらう必要はありますが、せっかくの上手なソロを下手に聴かせてしまうのも、逆にソリストを上手く聴こえさせるのも、指揮者次第。冒頭は、4小節目3拍目でザッツを取り直すつもりで。(勿論、インテンポの枠の中で。)Aからは、ソロを絶対に煽らずに、細かい音符は時間内たっぷり感じさせてあげるように、必ず聴きましょう。聴くのは簡単なようで、かなり難しいですし、テンポばかり気にして振ってしまうと、ソロが委縮します。ソロ任せと思っていたらとんでもない演奏になりますので、ご注意を。
先述の通り、様々なニュアンス(解釈)が可能な曲ですが、C以降は、作曲者がアクセントを付けている部分は、指揮でビシッと決めましょう。
H前のrit.は、最初からテンポ が落ちないように、またHに入る前がフェルマータにならないように注意。Hr.は最終的には任せてもいいですが、71小節目からHの1拍目まで拍のカウントを止めずに感じると、Hの場面も効果的になります。

 
課題曲V シャコンヌ S

★各モティーフの辻褄の徹底を!
この曲には、数えられる程の動機(モティーフ)しかありません。まず最初に確認しなければならないのは、各モティーフのフレージング(重心の位置)&アーティキュレーションの徹底。もちろん、出てくるタイミング、和声や周りとのバランス等によって、多少の違いが生じますが、根本的に同じモティーフ(変形も含む)は、曲中は終始同じ解釈で奏でることが、全体の構築に繋がり、とても立体的な音楽になります。
「シャコンヌ」そのものの考え方によって、各モティーフの考え方も変わってきますが、あくまで、音楽の基礎的要素を基に解釈しなければ、当然ですが音楽にはなりません。逆に言えば、各モティーフがきっちり役割を果たせば、曲の力で大きな音楽が生まれてしまうのです!

★書いてあることは必ず!
次に、各パート譜上の、クレッシェンドやアクセント、アーティキュレーション等、テンポ以外の書いてある全ての指示を、忠実に再現すること。
作曲家の指示は、それほど多くはありません。つまり、一つ一つの指示にとても意味がある訳です。クレッシェンドにpocoが有るか無いかでも全然違いますし、アクセントも種類によって変えなければなりませんが、各自がこの徹底をしただけでも、いろんな音色が生み出されますよ!

★名曲は名曲、迷曲にしない!
ちょっと和声分析。各番号の小節はトニカ(ニ短調Tの和音)ですが、[6]は初めてトニカではありません。[7]は下属調(ト短調)のトニカ、そして、[8]はいきなりナポリの和音が鳴り響きます。つまり、[6]・[7]・[8]は、[1]〜[5]と違うテンションからスタートしなければ、おかしなことになります。
ナポリの和音の意外性こそがキーポイント。その前のフェルマータの時間も大切です。そして、ここから曲の終わりまでのクライマックスが、息をつかせない大きな一つのドラマを演出できると、名演になるでしょう。和声を無視すると、迷演になりますよ。
余談ですが、ナポリの和音の響きから、この曲がニ短調である所以もみえてくる、かも?!

<指揮者へ>
「シャコンヌ」の解釈を明確にしましょう。アゴーギクの有無も、解釈次第。一つの方向性が無いと、プロポーション悪い演奏になります。
テンポが変化する部分は、仮に速度用語が書いてなかったとしても、自然にそうなります。逆の言う方をすると、ただ用語だけに反応すると、流れがおかしくなりますので、和声とモティーフのフレーズでテンポを変化させましょう。特に[9]のaccel.は、各モティーフがいびつになっていないか注意しましょう。
各番号(2〜5)の前後もですが、[11]と91小節目は特に、ニ短調のTへの解決、つまりフレーズが切れないように和声を感じましょう。
曲がもつ音楽そのものの力が大きいですので、結果として逆うことにならないように、スコアリーディングして下さい。

 
課題曲W 南風のマーチ

★「鳴らす」という概念を間違えないで!
この曲を選んだものの、「なんか薄いんだよね」「鳴らないんだよね〜」と複数の方から伺ったのですが・・・そうですかぁ、だって"南風のマーチ"という春の訪れを告げる曲ですよ、厚いor暑い演奏をする必要があるでしょうか。
このマーチは、いかに爽やかに軽く演奏できるかどうか、そういうイメージが持てるかどうかが、音楽上の最大のポイントになるでしょう。拳を握り締めながら足を踏み出すようなダウンビートでではなく、浮き足のようなアップピートで感じた方が、作曲者のテンポ設定でのブライトマーチになるでしょう。

★前奏の4〜5小節目で全てが決まる!
この2小節間のアゴーギクが、マーチ全体の流れをかなり左右します。4小節目の2つのアクセントのスピード感を生かし、全員で2小節間をひとかたまりに意識してAに自然に入れれば、テンポが自然に絶対に決まります。"Bright march"のキーポイント。
5小節目の1拍目の音の処理を丁寧にするあまりにブレーキがかかったり、2拍目のmfのモティーフが改まり過ぎたり、3拍目裏のスタッカートから別のテンポになってしまったりしたら、4小節目の2つ目のアクセントのシンコペーションをもっと意識するようにしてみて下さい。

★4分音譜は今のうちに徹底して!
第一主題、B・Dの対旋律、Eのトリオ主題、EのTrb.、Hのトリオ主題、HのTrb.は、4分音符(及びスラーで繋がれていない付点4分音符)について、丁寧に揃えましょう。長さだけでも、いろんな解釈ができると思いますので、自然に爽やかに聴こえるように、研究してみて下さい。ただし、その音だけ集中し過ぎると、フレーズ感が失われるので、必ずフレーズを感じながら演奏しましょう。

<指揮者へ>
GアウフタクトのFl.ソロですが、合奏になると途端に3連符のリズムがとれなくなるとお悩みの方、これは実は指揮が理由の場合が十分に考えられます。まず、Gの1小節前の3拍目の和音をきちんと聴かせるように意識しましょう。(55小節目のアゴーギクを普通に進めてしまうと、3拍目の和音の変化が聴こえづらいですし、Fl.も16分音符に近くなってしまうのです。)そのためには、54小節目の和音も意識し、旋律もフレーズを丁寧に終わらせれば、55小節目も自然に(c-moll上の)半終止となり、ソロが自由に入ることができます。
あとは、Hからは、相当、音量バランスを考慮しなければなりません。全てのテーマが聴こえるように、合奏で調整しましょう。

 

 
課題曲X 「薔薇戦争」より 戦場にて

★薔薇戦争の再現!
今から500年ちょっと前の薔薇戦争の人間模様、おもしろいですよねぇ、決着ついたかとみえてまだ終わらない・・・。この曲も、その騙し合いのニュアンスが演出されればいいわけです。
奏者が騙されないで、観客が騙される・・・奏者は、特に、拍子に騙されないこと。表記されている拍子は、あくまでも合奏する際、同じ時間(拍)を共有する都合上だけのものと考えてみて下さい。

★各々のソルフェージュ力が絶対条件!
いきなり5連符からスタートして観客を混乱に陥らせるわけですが、5・7連符以外の各々のモティーフは、拍の中で3分割系なのか2分割系なのか、各奏者がきちんと把握し、ソルフェージュできることが必須。各自、3分割系から2分割系(或いはその逆)へ切り替える部分を、念入りに確認しましょう。意外と、無意識に他のパートにつられて、正しくないまま馴れてしまっている部分もあると思いますので、本番までずっと意識し続けることが大切です。

★遠近感を演出!
様々なモティーフが複雑に登場する場面も多くありますが、全てのモティーフが均等に聴こえる必要はありませんし、平たい演奏はタブー。もちろん、全てのモティーフが聴こえなければ意味がありませんが、作曲者は、均等に聴こえるようには書いてはいませんし、このバランスにより、遠近感が生じ、この標題音楽が立体的に効果的に伝わると思います。
あまり標題に偏るのも音符そのものと掛け離れる危険性がありますが、薔薇戦争の登場人物と動機を一致させて考えても、おもしろいかもしれませんね!

<指揮者へ>
先述の通り、各奏者のソルフェージュ能力が問われる曲ですので、指揮者はリハーサルで見極め、さらに、各モティーフのバランスをつくっていかなければなりません。
ブレずに拍(テンポ)を出し続けることは重要ですが、拍子を振り過ぎると各モティーフのリズム・キャラクターが損なわれやすくなります。特に、Dからは、振り分け(3+2etc.)を意識し過ぎると、奏者側が無意識に余計なアクセントをつけてしまいがちです。
3分割系、2分割系が混在している部分は、必要な箇所・奏者に応じ、ザッツを出して奏者を補助してあげなければなりませんが、そのチョイスは合奏の状況においてよく考えてみて下さい。又、ザッツを出す際は、今どのモティーフ(誰)を指揮しているかを、予備拍から明確に。他の奏者が指揮に反応してしまい、リズムが崩れる原因になる可能性があります。
J前のmolto rit.は、何通りかの解釈が可能ですが、J前の3連符=Jの3連符が、いちばん自然な方法です。
K前のriten.は、振り方自体はどの方法でもいいですが、Kの1拍目までをワンフレーズで感じることを忘れずに。フェルマータではありませんよ!

 

 
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