もちろん楽しいから演奏する

でも大学では楽しさを与える立場からの
 演奏を学ぼう
               前田昌宏
 リードを調整しよう
 プロのクラリネットやサクソフォン奏者の中でもリードを全く調整せず、箱から出してそのまま使うという方も多いようですが、私の場合必ずサンドペーパーを用いて削るようにしています。好みの厚さにすることはもちろん、音色を変えたり、高域低域のバランスを整えたりすることが目的です。サクソフォン専攻生にもこれらの方法を目の前でやってみせると、ちょっとしたコツを覚えることで誰にでも簡単に調整できるようになります。みなさんもぜひトライしてみて下さい。
1.まず吹いてみよう
 なにはともあれ音を出してみます。しかし調整前なので、水に浸けたり、唾液で水分を与えないように注意します。通常はこの時点では雑音が伴い、演奏しにくさを感じることが多くあります。もしそのままでも良ければ当然調整の必要はありません。
 硬さを感じたならどの程度硬いのかも覚えておきましょう。

2.表面の調整をする
 準備するものはホームセンターなどで売られているサンドペーパー、そのなかで私はA4ほどの大きさで売られている少し厚手の耐水ペーパー400番を使っています。数字が小さいほど目が粗くなります。使いやすい大きさにカットします。
 右の写真を見て下さい。リードの表面をあまり力を入れすぎないで、表面のざらつきを取り去ります。 ここでは削るというより、製造時に残された表面の削りカスを取り去る、といったことが目的です。
 この時点で、もう一度吹いてみます。くれぐれも水分を与えないように注意して下さい。ちょっと重いかな、まだまだ硬いな、と思うくらいで止めておきます。
 このあとはもうちょっとさわりたいと思ってもガマン。どのくらい硬いかを覚えておきあすに持ち越します。
※微妙ですがサンドペーパーの丸めかたやリードに加える圧力にコツあり。
(画像クリックで拡大)
3.翌日再調整する
 どの程度硬かったかを思い出しながら、今日はちょっと多めに削ります。サンドペーパーは全く使っていない新しい部分を贅沢に使って削りましょう。ただし、削るといっても、あくまでも表面処理という範囲を超えないようにして下さい。もしやっぱりまだ硬いと思ったら、中央のU字ラインで囲まれた範囲を削って下さい。
 少し削っては少し吹いて変化を確かめて下さい。それでもまだ硬いようなら、やはり今日もこれでオシマイ。この項目3をあすまた繰り返しましょう。
※左が調整前、右が調整後
表面のトゲをなくすように調整します
(画像クリックで拡大)
4.水分を補給する
 好みの厚さより少し硬いかなと思ったところでストップ。水の入ったコップに先端1〜2cmを浸けリード全体に引き延ばします。裏返してメーカーロゴの書いてあるところや、反対端にも均等に水分が含まれるようにして下さい。吹いてみたらきっとよく響くようになっているはず。いったん水分を含んだリードは完全に乾くまでノータッチで。
5.10分づつ4〜5日間吹く
 ちょうど良いと思っても今日は10分だけ吹きます。ffはダメ。明日もあさっても10分だけ。でも10分は吹いて下さい。そして4〜5日経ったころがそのリードの性格が決まる頃です。
 
※リードの保存
 リードの保存には適切な環境が必要です。私はリードケースにティッシュを敷いてなるべくはやく水分を吸収するようにしています。